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2009年12月2日発売の『 空飛ぶモンティ・パイソン40thアニバーサリーBOX《フィギュア付・完全限定生産》[DVD] 』付属の特典フィギュアの原型製作を担当させていただきました。

このページでは特典フィギュアのメイキングを紹介させていただきます。
   

特典フィギュアの製作にはデジタル原型を使っています。

左の画像は、ZBrushというモデリングソフトでの作業風景です。

まるで粘土かワックスで彫刻するように作業できます。

今回はデジタル原型のメリットを生かして、顔だけ先に作ってみました。

本当は1cm程度に縮小される顔の原型に、ここまでの密度は要らないのですが、時間が許す限りがんばってみました。

どこまでもズームして人間の手では施せないような彫刻も可能にしてくれるのがデジタル最大のメリットです。

素材の変更も自由なので、目だけ義眼を作ってはめ込んであります。


顔が完成したら体を作ります。

鞄・帽子・靴などの小物を合わせて写真のイメージに近づけます。

モチーフは有名なシリーウォークの写真なのですが、フィギュア向けに若干のアレンジが加えられています。

この原型データに、ZBrushで色を塗って、右側のような彩色イメージを作って確認してもらいます。

手作業で原型を作った場合は一旦作業を止めて、色付きの原型を作って版権元の監修を行うケースが少なくありません。

しかし、デジタル原型の場合は彩色した状態で作業を進めることも可能なので流れが止まりません。(デジタル原型の場合画像監修が一般的です)

そして彩色したまま修正作業が可能なので、確認作業がスムーズに進みます。


同時進行で、台座をCADで設計して追加しました。

イラストレーターのデータはCADに持ち込めたりします。

当工房ではライノセラスというソフトを使っています。

ポリゴンとナーブスを同時に扱える優れたソフトです。

完成前なのに完成イメージが作れるのでパッケージのデザインもイメージが膨らみます。

左の画像は、イラストレーターで作った台座の画像と、レンダリングしたフィギュアの3DCG画像を、パッケージのデザインに合わせてみたところです。

質感やライティングの設定次第で、完成したフィギュアの写真にしか見えない画像を作り出すことも可能です。


余談ですが、3Dデータで完成しているフィギュアですから、宣伝用に別サイズのフィギュアを立体出力して展示用に使う、といった活用の仕方も考えられます。

原型データが完成したら3Dプリンタという機械で原型として出力します。これを立体出力といいます。

左の写真は、立体出力した原型を研磨して、見やすいようにグレーの塗料を塗った状態。

こうなるともう手で作った原型と区別が付きませんが、PCのモニタいっぱいに拡大して彫刻した物を縮小して出力しているので、密度が凄いことになっている部分があります。

こんなに小さなカバンだってきれいに作れます。

これらを組み立て色を塗って中国の工場に送ります。
そのあと中国の職人さんが彩色見本を参考にマスクを作ってくれます。

微調整の指示はフォトショップなどを使って、右下の画像のように写真に上書きするなどして指示を出します。

実際には眉からあごの先まで7mmとかなりの小さい物なので、目眉はハッキリと太く描いておく必要がありました。


大量生産されて日本に帰ってきました!!


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デジタルを使ったフィギュア製作技術は日々進化しています。
マスクや版を使わず、立体物に直接インクジェット印刷してしまうという驚くべき技術も開発されています。
今後どのような進化を遂げるのか目が離せません。

最後に、このような貴重な機会を与えてくださったソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの皆様、フィギュアの仕様変更と共にどんどん大きくなってしまったパッケージにステキなデザインをしてくださったくわじまゆきおさん、最後まで厳しい修正指示にお付き合いくださった金羊社と中国工場の皆様に、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

                                                               2009年12月  折田 航